2012年9月9日日曜日

プロボノというものについて改めて考えてみる。



こんにちは、休日は一人でスタバに限ります。
オシャレぶってる訳じゃありません。友達少ないんです。



という事で(?)、なんとなくブログでも書いてみようかな、と思い、
それだったら以前からずっと考えていた「プロボノ」について纏めてみようかと。




会社のブログで書いても良かったのですが、僕の主観が多いので、個人ブログにします。



まず、「プロボノ」という言葉の定義についてですが、
各分野の専門家が、職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般。
とWikipediaでも定義されているように、昔からある「ボランティア」というものと一線を画し、「スキルボランティア」という意味合いで語られていますよね。

ま、プロボノという事自体に関する説明は、ネット上に沢山あるので割愛します。


なども、分かりやすくボランティア、NPO、プロボノの歴史と魅力を伝えていますね。



ただ、はたして現状はどうなんだろう、と。


という事で、ちょっと僕自身もプロボノというものに触れる機会がちょこちょこあるので、現実的な目線で考えてみます。


1、プロボノはどんな人がやるのか


まず、プロボノって、どんな人がやるものなのか、という点だけど、別に(ほぼ)誰だって出来ます。

「えー自分提供するスキルなんてないよぉ」という人もいるかもしれないけど、仕事で食っていけてる以上、その仕事はスキルなんだから、それにニーズを感じているNPO団体とかがあれば、成り立つんですよ。

でも、問題はスキルを提供したい人と求めている団体とのマッチングが難しい、という感じでしょうか。

多分、マッチングの選択肢としては、
1、サービスグラント、a-conなどのマッチング団体、サイトを利用する
2、NPO団体が直接公募しているものを探す
3、自分で売り込む
の3つくらいなのかな、と思います。(超ざっくりですが)

で、3の自分で売り込むのはさすがにミスマッチが多いだろうし、2の団体の直接公募を探すのも、徒労ですよね。
なので、現実的にはマッチング団体とかサイトを利用するのが現実的なんでしょうか。
(ごめんなさいこのへんにはあんまり僕なりの考えがありません・・・)


2、プロボノと外注の違い、求めるもの


良くも悪くも、今ってプロボノという言葉が盛り上がっていると思います。
誤解の無いように言っておくと、僕もプロボノというものには賛成ですし、僕自身そういう関わり方をしている団体もあります。

やはりNPOは人もお金も限りがある中で活動をしていかないといけないので、そういった時にプロボノというものは非常に力強い味方、なのも分かっています。

ただ、プロボノを利用するのって、なかなか難しいんですよね。

決して「できない理由」を書きまくるネガティブな記事にしたいわけじゃないのですが、現実的な難しさを知った上で、お互いに納得度高く、有益な関係でプロボノが出来るといいな、と思っているので、遠慮なく書きます。


お金がかからない事がメリットだと思っている

利用するNPO団体側としては、やはりこれが一番大きいと思います。
何かキャンペーンをやるからチラシが欲しい、WEBが欲しい、といった時に、どうしても潤沢に予算をかけられないし、かといって内部で作れるような人もいない、そんな時に無償でスキルを提供してくれるプロボノというものは、一筋の光明なのです。

ただ、そこで注意する必要があるのが、

一人のプロボノにまつわるものは「スキル」だけじゃない

という事なんですよね。

プロボノを利用すると言っても、対応するのは中のスタッフであり、そのスタッフが、今回の制作物にあたって、どんなスキルが必要か、を考え、それにベストマッチするプロボノを探し、依頼を伝え、実際に作ってもらう、という流れだと思いますが、その中でぶち当たる壁というものが、
・プロボノする人、対応するスタッフの人間性
・プロボノする人の持ってるスキルレベル
・プロボノする人のコミット度合い
・プロボノする人の柔軟性
だと思います。

まず、人間性というのは、「単純にやりやすいか」という点だと思っていて、プロボノは明確な「お金」が報酬ではないため、「人間性」というものに大きく影響されちゃうと思うのです。
人間なんてそんな単純なイキモノじゃないので、気持よく仕事が出来ないと、確実にモチベーションが下がります。
外注であれば、「お金」が出ているので、それがモチベーションになるのです。

ひいていえば、関わる団体への魅力、対応するスタッフの魅力、が関わるプロボノのモチベーションをいくらでも上げ下げしちゃうと思っています。

スキルレベルというのは言わずもがな、どれだけのレベルがあるのか、という点なのでまぁいいとして、
コミット度合いというのは、ぶっちゃけどれくらい関わってくれるのか。

一日で終わるようなものであれば別に問題はないのだけど、ある程度期間がかかるものや、長期的に関わってもらいたいものだと、単純にその人の忙しさや熱意の持続性に影響されてしまうと思います。

今はプロボノをやりたいという気持ちが強いけど、1ヶ月後に仕事が忙しくなって、ちょっと離れてしまうと、熱意も冷めてしまうかもしれないし、時間が空いてしまうと単純に戻りづらくなるかもしれない。

要は、プロボノをやりたいと思った時の熱い想いが一過性だと危険だよね、という事です。
ここもお金が発生する外注と違い、「縛り」が無いのでコミットを強く制限できないからだと思います。

あと柔軟性という点ですけど、これは結構重要で、いかに出てきたアウトプットに対して、団体スタッフから忌憚ない意見が言えるか、どんどん意見をぶつけあってより良いものに手直ししていく、といった柔軟性を持っているかだと思っています。

これも僕も極端な主観なのでなんとも言えませんが、プロボノによって作られたものは、団体側の意向よりも、プロボノが作りたいもの、に比重が偏っている気がします。


タダだから、というネガティブさ

やはり、どうしてもそういった出てきたものに対して議論をぶつけ合う時に、この「タダだから」という意識が強く出てしまい、あまり意見が言えず、プロボノの好みに影響されたアウトプットになってしまう気がします。

お金を払っていればクライアントと発注先、という図式が成り立ちますが、プロボノだとそうはいかない。

特に、お金が発生する業務の場合、修正作業に対して「修正費」を別立てする場合や、「制作費」の中にある程度の修正作業費が含まれる旨を了解していたり、つまりクライアントと作り手で共通認識になっている事が大きいのですが、
プロボノとして作ってきたものに対しての「修正の工数」に対する意識はあまりないと思っています。
なので、団体側も修正をお願いしづらいし、プロボノ側も、修正を言われるとちょっとネガティブになる(と思う)。


無償の提供というものはない

僕がプロボノというものを考える時、一番意識するのは、この部分で、
つまり世の中は「ギブ・アンド・テイク」で成り立っている以上、takeを求めるのであれば、必ずgiveが無いとだめだよね、という事。

では、通常ビジネスで取り交わされるgiveとしての「お金」が、プロボノでは何になるのか?
という事を考えてみようかと。

その時にまず前提として考えるべき事が、

プロボノをする人は、なぜやるのか?

という事ですよね。

一般的には、社会貢献をしたいと思う人が増えてきた事でプロボノが増えている、つまり自分のスキルを活かして社会貢献をしたい、という意欲なのだと言われていますよね。

それは間違っていないと思うのだけど、もちょっと掘り下げると、

・自分のスキルを披露したい、認められたい
・自分の好きな団体、活動に共感する団体の活動を促進してあげたい
・自分を高めるために、色々な人と関わりたい

という所かなと思っていて、これがまさにプロボノとして関わる人への「give」になるのだと思う。

だからこそ、NPO団体側は、お金を払えない代わりに、上記のような「対価(give)」を本気で考え、プロボノに満足してもらえるようにしないといけないし、逆にその「対価」を提供する事を担保する事で、プロボノが出してくる「アウトプット」に対してもビジネスと同じレベルで意見を言うべきだと思う。


各ニーズをもちょっと掘ると、


「自分のスキルを披露したい、認められたい」

これは、バリバリの仕事人間に多いと思っていて、
自分のスキルに自信があるからそれを披露したい、というのもあるだろうし、
逆に自分の仕事に自信が無いので、人のためにスキルを使う事で認められたい、存在意義を感じたい、という事もあると思う。

これがニーズなのであれば、
なるべく多くの人の目に付くようなものをやらせてあげ、作ってもらったものを大々的にアピールし、
アウトプットにプロボノさんの名前とか宣伝でも書いてあげれば良いと思う。

逆にそれを最初に約束しておく事で、NPO団体側からしても、
下手なものを作られたら困る、それだけ重要なものをお願いしようとしている、でも期待してるからこそこっちも100%プロボノさんのためにアピールするし、宣伝もする。だからアウトプットに関しては本気でダメ出しもするし、議論していきたい、と伝えれば良いと思う。


「自分の好きな団体、活動に共感する団体の活動を促進してあげたい」

このニーズはすごい本質的だけど、意外と難しくて、ようは理想としては、
プロボノさんに作ってもらったもので、活動がより促進され、こんな成果がありました、
という「達成感」が「対価」になるんですよね。

そうすると、NPO側がその「対価(達成感)」を明確にプロボノさんにお支払いするためにも、
ちゃんと作ってもらったものに対して目標(KPI)設定をし、有効に活用し、活用の成果を測定し、それによる活動への影響を可視化してプロボノさんへ伝える必要があるかと。

よく、作ってもらったけど、上手く活用できていない、目標設定と成果指標管理が出来ていない、というケースは多いと思う。

逆にプロボノ側からしても、ここに「対価」を求めるのであれば、それに対して貪欲に求めていくべきだろうと思うし、それを約束事にするくらいでもいいと思う。

僕が作ったものがどんな効果を出すか、達成への努力と、報告の義務を約束してください、的な。
(僕がNPOのスタッフ側だったらこれ言われたら泣きそうだけど)

でもそれだけ本気でいいと思うし、そのためにプロボノさんからアグレッシブに団体の活動に物言いしていいと思う。


「自分を高めるために、色々な人と関わりたい」

このニーズは、多くのプロボノさんの意見を聞いていると、意外と多い。
今の自分の業務では得ることのできない人間関係や、異業種交流、スキル交流を「対価」として求めている、という事ですよね。

これはプロジェクトとして案件をプロボノで回すと、チーム内のプロボノ同士がお互いに交流するので得られやすい。
ただ個人的にコミットしてもらう場合は、なかなか難しく、そうした時に一番最初にプロボノが交流するのは、団体の担当スタッフであり、その人との仕事、またそこから団体内部のスタッフとの仕事の関わりが、ある意味で異業種交流になるので、先述したスタッフの人間性、魅力に関わってくるのだと思う。


と、これだけ書いたように、プロボノさんにスキルを提供してもらうという「take」を有効に得るためには、「give」が結構大変なんだよ、という事を念頭に置いて考えるべきだと思う。

その上で、「外注」と「プロボノ」、今回はどっちが正解なのか?という事を案件ごとに一度冷静に考えてもいいと思う。


プロボノでよく悩んでいる人を見ていて思うこととして、

コミュニケーションは作業と同じくらい時間がかかる

という点であって、もちろん外注に出す場合でもコミュニケーションコストはかかるわけだけど、プロボノはより丁寧なコミュニケーションが求められるし、まだまだお互い不慣れな文化なのだから、余計にコミュニケーションの時間が増えてしまう。

また、もしちょっとした事でトラブルになったり、アウトプットが微妙でそれを直してもらう必要が出たりすると、さらに余計なコミュニケーションが増え、結果対応するスタッフの人件費を考えると、結構なコストがかかってしまった、という結果に陥りかねないですしね。

また、コミュニケーションというものは、ストレスになりやすいと思うので、対応するスタッフに負荷がかかりすぎてしまう事によるロスも考えたほうがいいかと。

スタッフの時間を多く使ってしまうくらいであれば、外注してしまい、その分スタッフが他の業務をできた方が、結果として多くの成果を上げられるかもしれませんし。



3、プロボノ、まとめ

なんかここまで書いていて、プロボノに対するネガティブな意見ばかり書いてしまいましたが、冒頭でも書いたように、決して反対派でもなく、むしろ可能性に期待している人間なので誤解のなきよう・・・

ただ本当に難しい事だと思っているので、現実的な事をしっかりと理解しておいた方がいいんじゃないかな、って思っています。


一応、僕の超主観的なプロボノ論をまとめると、

・プロボノはボランティアではなく、成果物と報酬(対価)が成り立つビジネスなんだという意識を持つ
・案件毎にプロボノでいくか、外注でいくか、コストと成果の観点から考えて選択する
・お金に代わる「対価」を案件・プロボノ毎に明確にし、それによる「成果物責任」をプロボノに担保させる
・成果物はプロボノの自己満足ではなく、団体への納品物であると考え、修正対応工数も事前に認識を揃える
・プロボノは「対価」により貪欲になり、団体からの「対価」の入金完了まで見届ける

とかですかね。


なんか、プロボノの案件でも、見積書を作ったらいいんじゃないかな、って思ってきた笑。



いやーなんともまとまりの無い記事だなぁしかし。
山元さんみたいにはロジカルにまとめられないなぁ...(苦笑。